歯科一般・口腔外科・小児歯科 GENERAL DENTISTRY
歯科一般
歯科一般は、虫歯のほか、歯の痛みや知覚過敏、歯の欠損など、歯に関する病気やトラブル全般に対応する診療科目です。
歯列矯正歯科や審美的歯科治療などの専門的な診療分野以外の歯科治療の多くは歯科一般に含まれ、ほとんどの症例において保険適用で治療を行ないます。
歯科一般のおもな診療である虫歯治療では、虫歯の進行度によって詰め物や被せ物で歯を修復します。また、重度の虫歯で抜歯せざるを得ないような場合では、入れ歯やブリッジで失った歯を補います。
虫歯になってしまう原因
虫歯は、お口の中に存在する虫歯の原因となる細菌によって引き起こされます。
虫歯の原因となる細菌は、飲食物に含まれる糖分を栄養として増殖していくだけでなく、糖分を分解する際に酸を産出します。そして、この酸の力によって歯の表面が溶かされて歯に穴があき、虫歯となってしまうのです。
虫歯の原因菌の栄養となる糖分が常にお口の中にある状態であったり、細菌の棲家となる「プラーク(歯垢)」が歯磨きによって取り除かれない状態であったりすると、虫歯の原因菌の活動が活発になり、歯の再石灰化が間に合わず、虫歯が進行してしまいます。
プラーク(歯垢)とは
プラーク(歯垢)とは、歯の表面や歯と歯肉の境目、歯と歯のすき間などで細菌が増殖し続けることで形成される、白っぽいネバネバとした物体のことをいいます。
プラークには虫歯の原因菌をはじめとしたさまざまな種類の細菌が棲みついており、わずか1gのプラークに、1億個以上の細菌が生息しているともいわれています。
プラークは、しっかりと歯に付着しているため、うがいだけでは落としきれません。虫歯を予防するためには、歯ブラシなどの清掃用具を使って毎日丁寧に歯垢を取り除く必要があります。
虫歯の進行と治療
健康な歯の状態
健康な歯は、歯の表面のエナメル質が溶けていません。歯には「再石灰化」といって唾液の力によって溶けた歯を修復する仕組みがありますが、お口の中が虫歯の原因菌の栄養となる糖分が多い状態であったり、細菌の温床である歯垢が充分に取り除けていない状態であったりすると、虫歯の原因菌の活動が活発になり、再石灰化が間に合わずにエナメル質に穴が開いてしまいます。虫歯を予防するためには、毎日の適切な歯磨きと歯科医院での予防処置によって、お口を清潔な状態に保つことが大切です。
虫歯レベル1(C1)
歯の表面であるエナメル質が溶けて穴があき、その部分が薄く黒ずんで見えます。冷たいものが歯にしみることがあるものの、痛みを感じることはほとんどありません。
エナメル質に穴が開くと、再石灰化で修復できないため、虫歯に侵蝕された部分を削り、詰め物をして修復します。歯へのダメージを抑えるため、歯を削る際には、できるだけ最小限で済むようにします。
虫歯レベル2(C2)
C1の状態を放置し、さらに症状が進行するとエナメル質の奥にある象牙質にまで虫歯が到達します。象牙質には知覚があるため、冷たいものや甘いものが歯がしみたり、ときどき痛みを感じたりすることがあります。
この段階の治療は、C1での治療と同じように虫歯に侵蝕された部分を削り、詰め物で修復します。虫歯に侵蝕された部分が広範囲であった場合には、被せ物で修復することもあります。
虫歯レベル3(C3)
虫歯がさらに進行し、象牙質の奥にある歯の神経(歯髄)にまで到達し、神経が炎症を起こします。冷たいものや甘いものだけでなく、熱いものもしみるようになり、何もしていなくても激しく痛む場合もあります。
この段階では、虫歯に侵蝕された部分を削ったうえで、炎症を起こしている神経を取り除く治療を行ないます。そして、神経が通っていた根管とよばれる組織を洗浄・消毒し、無菌状態になったら薬を詰めて被せ物で修復します。
虫歯レベル4(C4)
歯の大部分を虫歯による侵蝕によって失い、残っているのは歯根のみとなります。この段階になると、歯の神経は壊死しているため、強い痛みはありませんが、噛むと痛みや違和感があります。神経が壊死したまま放置すると、細菌が神経を通って歯根の先端に病巣をつくって膿がたまったり、血管を通じて細菌が全身にめぐり、全身の健康へ悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
この段階では、C3と同じ治療をしますが、長く歯として機能させ続けることは難しくなります。また、被せ物ができないほどに歯が残っていない場合は抜歯となり、失った歯はブリッジや入れ歯などで補います。
虫歯になってからではなく、
なる前に歯科医院へ行きましょう
自宅できちんと歯磨きをしていても、虫歯になってしまうのは何故?
毎日しっかりと歯磨きをしているにも関わらず虫歯になってしまう場合には、その原因として、以下のようなことが考えられます。
- 磨く時間が短時間になっている
- ゴシゴシと強く磨きすぎている
- 歯磨き後にゆすぎすぎている
- 唾液の分泌が少ない
そのほか、磨き方の癖によって磨き残しができてしまっていることもあります。このように、患者さまご自身のケアだけでは、虫歯を防ぎきることは難しいといえます。虫歯を予防するためには、歯科医院で適切な歯磨き指導を受け、歯磨きだけでは除去しきれない歯垢を除去するなどの予防処置を受けることが大切です。ぜひこれからは「虫歯から歯を守るために歯科医院に行く」という習慣を身につけてみませんか?
虫歯治療の詰め物・被せ物、
入れ歯処置(保険治療)
虫歯治療では、再石灰化で改善できる初期の段階以外は、歯の虫歯に侵蝕された部分を削り、削って失った部分を詰め物や被せ物をして修復します。
保険適用の虫歯治療では、詰め物は「コンポジットレジン」とよばれる歯科用プラスチック製の白い詰め物か、金銀パラジウム合金製の詰め物を使用します。被せ物は、「CAD/CAM冠」とよばれる白い歯科用プラスチックとセラミックを混ぜた材料でできた被せ物を使用します。
また、末期の虫歯で抜歯せざるを得ないような場合には、ブリッジや入れ歯で歯の欠損を補います。
審美的な歯科治療について
口腔外科
口腔外科は、歯科一般では対応できないお口の中の組織やお口に関連する器官に発生した病気やトラブルに対して診療・診断を行なう診療科目です。口腔外科での対応範囲は幅広く、親知らずの抜歯や歯の移植のほか、お口の中の怪我や舌や唇、顎骨、お口周りの神経などに関する病気などにもご対応します。治療方法は症状によって異なりますが、「口腔外科」の名のとおり、おもに外科的な方法で治療を行ないます。
お口の中の怪我をはじめ、お口の中やお口の周りの器官に異変やトラブルがあった場合などもご相談ください。
《口腔外科で対応する病気やトラブル》
親知らずの抜歯、歯の移植、歯の破折、歯の脱臼、お口の中の怪我、顎骨の骨折、抜歯しにくい歯の対応、顎関節症、歯根嚢胞(しこんのうほう)除去、口腔腫瘍、顎骨嚢胞、三叉神経痛、痛顔面神経麻痺、顎変形症 など
親知らずの抜歯治療
親知らずは、思春期後半以降から生えてくることの多い、一番奥の歯のことをいいます。親知らずが正常に生えており、痛みもなく、歯磨きに支障がない場合などには、抜歯する必要はありません。
しかし、食生活の変化から顎が小さくなった現代人は、親知らずが正常に生えるためのスペースが充分にとれない場合が多く、「親知らずが真っ直ぐに生えていない」、「手前の歯を押すように生えている」といったことが起きやすくなっています。このような正常に生えていない親知らずによって、痛みや炎症、歯列の乱れなどのトラブルが生じているような場合には、抜歯を行ないます。
根管治療(歯内療法)
ROOT CANAL TREATMENT
虫歯が進行し、歯の神経である「歯髄」が細菌に感染してしまうと、歯が強く痛んだり、歯肉が腫れたりします。このような場合に、歯髄が通っている「根管」という管状の組織の中から感染した歯髄を徹底的に取り除き、根管の中に薬剤を詰めて殺菌する治療を「根管治療(歯内療法)」といいます。
虫歯が末期の状態で、歯根の先端に膿が溜まっているケースでは、根管治療をしても症状が改善しないこともあります。そのような場合には、病巣である歯根の先端を切除し、根元から薬を詰めて密封する処置(逆根管充填)を行なうこともあります。
顎関節症・噛み合わせ
顎の関節や顎の周りの筋肉に障害が起こる病気を「顎関節症」といいます。
顎関節症のおもな症状には、「顎の関節を動かすと音がなる」、「顎が痛い」「お口が開かない・開けづらい」といったことがあげられます。顎関節症の原因には、噛み合わせの不良・歯ぎしりや食いしばりなどの癖・顎周りの関節や筋肉の構造・ストレスなどがありますが、原因はひとつではなく、いくつかの要因が複雑に絡まって起こっている場合もあります。そのため、精密に検査をしたうえで原因を診断し、その原因と症状に応じて治療を行なっていきます。
お子さまの歯科治療
(小児歯科)
「乳歯は虫歯になっても生えかわるから大丈夫」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。でもじつは、乳歯の虫歯は永久歯にさまざまな悪影響を与えてしまうのです。
そのひとつに、「永久歯の発育が妨げられる」ということがあります。乳歯の虫歯が進行し、歯根の先に膿が溜まるようになると、その下にある永久歯の発育に悪影響を及ぼします。また、「永久歯の歯並びが悪くなる」という可能性もあります。乳歯には、永久歯が生えてくるための目印となる役割があるため、虫歯で乳歯を抜歯してしまうと、目印を失った永久歯は適切な位置や方向で生えてこられず、歯並びが乱れる原因となってしまうのです。大切なお子さまの歯を守るために、お子さまのお口に虫歯を発見したら、ぜひお早めに受診ください。
お子さまの虫歯の原因
お子さまの虫歯は、おもに以下の4つの原因が重なり合うことで起こります。
虫歯の
原因菌の感染
生まれたての赤ちゃんのお口の中には、虫歯の原因菌は存在していません。キスやスプーンの使い周しなどで虫歯の原因菌に感染することで、虫歯にかかるようになります。
歯質の
弱さ
乳歯は永久歯よりも軟らかく、虫歯の原因菌が出す酸に溶かされやすいといえます。また、乳歯の奥歯は溝が深く、歯垢が溜まりやすいために虫歯になるリスクが高くなります。
糖分の摂取量と
回数が多い
虫歯の原因菌の栄養となる糖分を含むおやつや飲み物の摂取量が多いと、虫歯の原因菌の活動が活発になります。また、間食の回数が多いなどお口の中に糖分がある時間が長いほど虫歯の原因菌が増殖し、産出する酸の量も多くなります。
歯垢が
取り除けていない
虫歯の原因菌の温床となる歯垢が歯磨きによってしっかりと取り除けていない状態では、虫歯の原因菌が酸を出しやすい状態が続き、虫歯にかかりやすくなります。
「歯医者さんが怖い!」というお子さまへ
当院では、歯科医院や歯科治療に対して強い不安や恐怖を感じるお子さまに対し、リラックスした状態で治療を受けていただける「笑気吸入鎮静法(笑気ガス)」をご提供しています。「笑気吸入鎮静法(笑気ガス)」は、「笑気ガス」をという気持ちが落ち着く作用のあるガスを吸うことで、ウトウトと眠るようなリラックスした状態で治療を受けられる処置です。治療中の痛みを軽減する作用がありますので、痛みに対する恐怖感の強いお子さまにも適しています。笑気ガスはお子さまにも使用できる人体に安全なガスです。また、健康保険も適用されます。ご希望の場合はお気軽にご相談ください。
安心して治療を受けていただくために 笑気吸入鎮静法(笑気ガス)とは子どもは定期検診がとても大切です
お子さまの歯を虫歯から守り、お口を健康な状態に保つためには、毎日の歯磨きに加えて定期的に歯科医院で検診や予防処置を受けられることをおすすめします。
お子さまのお口の状態を歯科医院でチェックすることによって、虫歯などのお口の病気やトラブルを早期発見できるだけでなく、予防処置を受けることで、虫歯になりにくい口内環境を保てます。また、子どもの時期から「歯の健康のために歯科医院にいく」という習慣を身につけることで、大人になってからもお口の健康を維持しやすくなります。
当院では、嫌がるお子さまを押さえつけて治療や処置をしたり、お子さまを怒ったりするようなことは決していたしません。すべての診療ユニットでテレビやアニメを見られるようにするなど、お子さまが怖がらずに楽しく通える工夫をしていますので、どうぞ安心してお越しください。
子どもの歯並びが気になるご家族の方へ
顎骨の成長期である子どもの時期から歯列矯正を始めることで、顎の成長をコントロールしながら、スムーズに歯並びを整えられます。また、子どもの時期から歯並びを整えておくと、歯磨きがしやすくなるため、虫歯や歯周病になるリスクの低下につながります。
当院では小児矯正にも対応していますので、お子さまの歯並びが気になるという場合は、ぜひ一度ご相談ください。